また少子高齢化がつづくと、将来の日本にはどんな影響がでてくるのかいちばん気になることだよね。そのへんをザックリとわかりやすく解説したいと思うんだ。
少子高齢化と医療
テレビやメディアでよく耳にする少子高齢化。
これは出生率の低下などで子どもの数がへってしまう少子化と、医療の進歩などで平均寿命がのびて65才以上の高齢者が増える高齢化が、同時にすすんだ社会のことをいうんだ。
またこの社会現象は医療にもおおきく影響していろんな問題がいまクローズアップされているんだ。
保険医療制度
日本のばあい会社に勤めるひとは健康保険(給与等から天引きされる)に、
会社つとめじゃない自由業等のひとは国民健康保険に、ほとんどの国民はどちらかに加入しているよね。
その保険医療制度のおかげで医者にかかったとき個人ではらう金額は(高齢者をのぞいて)じっさいの医療費の3割で、70〜74才は2割、75才以上は1割ですむ。
残りの医療費9割〜7割は保険(税金)から支払われるいるんだ。ところが少子高齢化の影響でこの制度そのものの存続があぶなくなってきた。
この保険(税金)は生産年齢(20〜64才)のひとたちが支払う保険料でまかなわれているんけど、少子化によりその数が減ってきてしまった。
また高齢者はなんらかの病気をもつことがおおく病院に行くことが多い。つまり高齢者がおおくなることは医療費がどんどん大きくなるってことだよね。
入ってくる保険料より出てゆく税金のほうが大ききければ誰がみたって赤字だよ。
じつは過去にも何度か保険医療制度の見直しはされているんだ。おぼえているひともいると思うけど健康保険の個人負担額は一割の時があったんだ。
それじゃあ成り立たなくなってきたんで今は3割になったんだよ。また今1〜2割の高齢者も一時期70才以上は無料だったんだ。
介護保険制度
高齢者がふえ平均寿命がのびたことで医療現場もかわってきた。
医療の進歩によって、皮肉にも高齢者が日常生活をひとりで送れない状態になってから、終末をむかえるまでの期間がのびてしまった。
それまでの病気を「なおす」命を「すくう」というだけじゃなく、治療にくわえて介護がひつようとされてきたんだ。
そのために2000年(平成12年)から介護保険制度が導入され、40才になったその月からすべての人が加入して保険料を払うことになったんだ。
それまでの医療ではできなかった介護のサービスが受けられるようになったのは良いことだけど、
健康保険に上乗せされる(年金受給者は年金より天引き)保険料は、やはり個人の負担をふやすことにはなるんだ。
40才からっていうのは妥当な年だね。働き盛りだけど、そろそろ老後の不安もででくる年齢、
ひょっとしたら将来介護を受けるかも知れないから今から保険料を負担するってことで納得するかもね。
まあこれで健康保険制度の支出をすこしでも軽くできるのならしかたがないか。
しかしこの制度も少子高齢化によって黄色信号なんだ。介護されるがわ(高齢者)がどんどんふえ、介護するがわ(若い世代)の人数がたりない。
保険料と税金でまかなっている財政面も何とかしなきゃならない状況にきているんだ。
国がおこなっている方策
いちばん安易でカンタンな方法は、保険料の値上げか個人負担の引き上げなんだけど、
これは個人の経済をあっぱくして、晩婚や不安から子どもを産まない・少子化をさらに増幅して逆効果にもなりかねない、だから慎重にやらないといけないんだ。
それから医療費そのものをおさえる方策として、「むだな医療行為の削減・合理化」=過剰な投薬をへらしたり重複の検査をなるべくしないことを推奨している。
また先進医薬品にくらべて安いジェネリック医薬品(特許が切れた薬を、他の製薬会社が同じ有効成分でつくった薬)をつかうようすすめているんだ。
しかしこれにも問題があって、医療費をおさえるってことは医者の収入が少なくなり、製薬会社や病院の経営にも影響がでてしまうよね。
将来医者や病院の数が減っちゃったら大変、そこをクリアしなきゃならないんだ。
また病気にならないための予防医療(健康診断・保健指導)や地域ぐるみで患者のケア・医療・介護を見守るかたちづくりもすすめているんだ。
日本の少子高齢化の特徴
いま世界の先進国はほとんど少子高齢化社会になっているんだ。その背景には第二次世界大戦とその後のベビーブームにあるんだ。
ベビーブームは他の国でもおきた現象なんだけど、日本の場合は極端で当時の総人口の10%にあたる800万人の子どもが3年間のベビーブーム(団塊の世代)に生まれ、
その団塊の世代が親になってまた第2次ベビーブームがおきたんだ。
そのたびに日本の人口は大きく増えたんだけど、経済成長とその反動でこんどは極端な少子化(子どもをたくさん産まない)がおきてしまったんだ。
団塊の世代が高齢者になった今、また医療の進歩とうで平均寿命は世界のトップクラス、そんなことが要因で日本は超高齢化社会になっちゃたんだ。
65才以上の老年者の数が、総人口にたいしてどのくらいの割合かを%(パーセンテージ)で表したのを高齢化率っていうんだが、
日本の高齢化率は2020年には29.1%になるって予想され、この数値はなんと世界最高なんだよ。
また高齢化のスピードをあらわすのに、高齢化率7%から14%になるまで何年かかったかで計るほうほうがあるんだ。
そのほうほうでくらべてみるとフランスは115年、スウェーデンが85年、イギリスが47年、ドイツが40年、
日本はなんとたったの24年でイギリスの半分、フランスのなんと5分の1なんだよ。
つまり高齢化のスピードでも世界トップってことなんだ。
少子高齢化で将来の日本は?
この世界一のスピードで進んでいくと2035年には高齢化率は33.4%になると予想されているんだ。
つまり日本は3人にひとりは高齢者って国になっちゃうんだよ。
そうなると医療だけじゃなく年金はもちろん社会福祉や生活のしかた、経済などにも色んな影響がでてくるって想像できるとおもうんだ。
高齢者のなかにはまだまだ元気ではたらく意欲のあるひともいるとおもうけど、若者のように俊敏(しゅんびん)には動けないし、力も落ちてくる。
でももし人口の3分の1が仕事からリタイアしてしまったら日本の経済は落ち込んでしまうよね。
いまどんどん建てている高層ビルだって、はたして高齢者に適した環境なんだろうか。ひょっとしたら将来、無用の長物になる高層ビルもなかにはでてくるんじゃないかな。
はたらく環境や仕事のないようも根本から考えなおさなきゃならない時代がくるかも知れない。
運転に不安な高齢者がふえれば、自動車そのもののありかた、また電車やバスなどの公共交通機関もいまのままでいいんだろうか?
少子化によるプラス面
不安なマイナス面の話しがおおかったけど、じつはプラス面もあるんだよ。
2004年をピークに人口は減少、1億3千万弱あったのが2050年には9500万人、2100年には5千万人弱まで減るって予想されているんだ。
人口が減るってことは食料問題にとってはプラスになるかもしれないんだ。
いま日本の食料自給率(国内の食料しょうひが自国の生産でどのていどまかなえているかの%)はカロリーベースで38%、生産額ベースでは68%しかないんだ。
ようするに自国の生産だけでは足りないので輸入でおぎなっている状態ってこと。この自給率は先進国のなかでは最低レベルなんだよ。
狭い国土のなかに密度の高い人口が住んでいる日本にとって、広さに見合った人口になることは食料の自給率をあげる可能性がふえるってことなんだ。
人口が減れば生産するひとの数も減るけど、そこは優秀な技術力とスキルでのりこえられると思うんだ。
まとめ
少子高齢化は医療だけでなく、日本の将来にもいろんなかたちで影響することがわかったとおもうんだ。
しょうじきいって不安要素はいっぱいあるよ、でもなんとかしなきゃいけないんだよ。
世界中でかかえる問題なんだけど、じつは世界中が日本に注目しているんだ。
戦後ほんの短い期間で復興をし、世界の経済大国になった日本。
世界のどの国も経験したことのない「長寿大国」の道を走りつづけている日本が少子高齢化をどうやってのりきるか、期待を込めてみまもっているんだよ。
技術力・忍耐力・創造力のたかさでその期待に応えようじゃないか。